自分のできること
暮らしの中で、一服のお茶を通して人の輪が広がっていく実践をこれまでたくさん拝見してきました。
そこにはお茶を点てる方の心の余裕、慈愛に触れることとなります。
そして、いつも私に感動を与えてくれますね。
常日頃、物静かな友人の一服のお茶のお話を致します。
大学を卒業してから会社員の仕事をしながら週末は趣味の音楽や観劇鑑賞をして心の豊かさを大切に過ごしている女性です。
彼女は、どちらかというと奥手で何をするにも「お先にどうぞ」という姿勢で、
何を考えているのか一見よくわからないのですが、長くお付き合いすることで秘めた強い信念を持っていることに触れてきました。
ある時、彼女と「何か自分のできることで社会に関わりを創っていきたいね」と話題にしていたのですね。
その会話中も私は彼女に対して「社会に対してよい循環を創りたいと思っている人なのだ。自分の仕事、趣味にしか興味がないと思っていた私が恥ずかしいわ」と思ったことを記憶しています。
その一月後、彼女は「引っ越しすることにしたの」
その一月後には「家の近くに料理教室を見つけて通うことにしたの」
その次は「料理教室の先生が子供食堂を運営することになって、お手伝いをすることになったの」
と、奥手と思っていた友人がどんどん変化していく時期に遭遇していました。
今度は「料理の先生が、私が茶道をしている事を知って、子供食堂を運営する日に子供たちに茶道体験をしてほしいと依頼されたの」
「すごいじゃない!!!どうしたの?急に動き出したね!」
「そうなの、自分でもびっくりしているの?!」
「稽古場にたくさん茶筅があるから差し上げるからね。使ってね!」
「ありがとう!うれしい!」
しばらくして、「体験茶会で子供たちが楽しそうにお茶を点て、飲んでたわ。そして、料理教室の先生も喜んでおられ、私もとても楽しかったの。継続的に体験茶会もしていく感じ」
「よかったね」
子供たちが大人になった時に、「茶道を習ってみたい」や「どこかの機会で、臆せず堂々とお茶を頂くことができる」など、何かの一助になっていれたら幸せなことですね。
こうやって、大げさなことでなく、自分のできることで自分の周りの方へ一服のお茶を通して何か大切なものがつながっているのを感じています。日々、友人とも頻繁に連絡は取らずともお互いの人生を応援しあい、そして一服のお茶で活動している関係を誇りに思っています。
仲間たちと自分のできることで大切な事を繋げる活動が広がっています。
令和五年和暦長月満月